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呆然と……本当に呆然と、その光景を眺めていた。けたたましく鳴り響くやかましいほどのサイレン。その音に引きつけられるかのように集まってきた野次馬。そして……目の前で燃えている新居。
途方に暮れて……力無く笑った。
だが、その時――突然、携帯が音を立てる。
「……叔母さん」
話せば長いが……一度も会ったことのない、唯一の肉親である。
どうする……電話に出るべきか出ないべきか。
しかし考え込んでいると電話は切れてしまい、結局なんの用だったのか分からずじまいだった。
「あの、すいません」
不意に声をかけられて、そちらを振り向き―― 一瞬にして目を丸くさせた。
「――かっ?!」
母さん――そう言おうとして、慌てて口をつぐむ。
目の前に、死んだはずの母さんがいた。いや――違う。母さんのはずがない。母さんは確かに死んだんだ。母さんであるはずがない。遺体を確認したのだから……。
「あの……薫君、よね?」
驚いているのをよそに、尋ねるように首を傾げて、女の人は名前を聞いた。
「ああ、ごめんなさい。私は天野由佳子。あの……篠原薫……君よね?」
これが、俺と叔母さんとの出会いだった。そして、俺の人生を一変させた日でもある。
だがそれに気づくのにはずっと後になってからのことだ。
この時の俺は、ただ、寝床を失ったショックと突然現れた叔母さんに驚いているだけで、何も周りが見えていなかった。自分が世界で一番不幸だとすら思っていた。
けれども……そんな馬鹿な自分を、こうして冷静に思い返せるようになった今、改めて思う。
この日が、俺の人生を一変させたのだ
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