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それは、現在から遡って数百年前のこと。 広大で自然が多いことから、<恵まれた大陸>と名付けられた大陸ヴィアートには数十の国家が乱立し、いがみ合っていた。 全ての国家が大陸を支配することに憧れ、統一の夢を見、毎日のように大陸中で戦端が開れていたのだ。 その中で、最終的に勝ち残っていったのは、大陸の東海岸に位置する、クロヴィリアという国家だった。 山と海に面したその国家は、農耕民族と海洋民族が共に手を取り合い造り上げたもので、その緯度は、大陸のちょうど中央部に位置している。 よって、クロヴィリアは大陸東部の交通の要所だった。 それだけにクロヴィリアを攻め落とし、交通網を手中に収めようとする近隣諸国は多数存在した。 しかし、クロヴィリアが一国の手に渡るとまずい。 そう考えた近隣諸国は、クロヴィリアに協力し、クロヴィリアと同盟を結んでいった。 それによって、クロヴィリアは大陸東部の商業都市として栄えてゆく。 結果的に小国であったクロヴィリアには、他国の様々な最新技術や金が流入していき、著しい発展を見せていった。 そのことに近隣諸国が気付いた時には既に遅かった。 クロヴィリア王国三代目皇帝アル=クロヴィリアは、豊富な資金と技術を駆使し、強力な軍隊をつくりあげていたのだ。 その力は圧倒的で、近隣諸国からヴィアート全体へと、次々にクロヴィリアは勢力を広めていったのだった。 それから数年の月日経て――クロヴィリア王国は大陸を統一した。 その後数百年の月日が流れ、現皇帝は十三代目ラル=クロヴィリア。 これは、その一人息子であるクロト・クロヴィリアの花嫁探しの物語である……






