Maximum Magic: Quirk of Destiny

ある日突然、空から城が降ってきた。 その世界には、魔法が存在すること以外にも、我々の世界と違うところがありました。 たとえば、世界の上空を、いくつかの巨大な城が浮遊しているところ。 太古の系譜を引き継ぐ魔術師たちが住んでいるのではないか？ 高い知性を宿した悪魔たちが巣くっているのではないか？ 様々な説がありましたが、有史以来、城が害をなすようなことはありませんでしたので、ほとんどの人にとっては、空気のような存在でもありました。 しかし、そんな悠長なことを言っていられない事件が発生します。なんの前触れもなく、城の一つがとある町の近くに墜ちてきたのです。 幸いなことに死者も怪我人も出なかったのですが、あまりの出来事に、いつも呑気な住人たちも大騒ぎ。布団をかぶって震える者、次はどの城が墜ちてくるのか賭けを始める者、ちゃっかり　『落っこちた城まんじゅう』を作って一儲けを企む者など、みなそれなりにこの出来事を楽し――いや、影響を受けているようでした。 もちろんバカ騒ぎをしているのは一部の人間だけで、偉い方たちはちゃんと仕事をしていました。 その国の女王は、落ちた城の極秘調査に乗り出します。 なぜなら、浮遊城の落下と時と同じくして、町のほうでも不思議な事件が続発していたから。その関連性を探るには、町――特に事件が多発している魔導学院に対する、深く掘り下げた形での調査が必要だと考えたのです。 しかし女王がエージェントとして選んだのは、少しばかり破天荒な少年でした。 才能はあるけれどちょっぴり人格に問題があり、どうひいき目に見ても命令に忠実なタイプとは言えない。しかも当たり前の常識が無く、周囲の人間を驚かせるような大仕掛けないたずらが大好き。 こんな人間に特命を下した女王の意図はなんなのか？ 謎が謎を呼び様々な意図と天然がややこしく絡み合う、はっちゃけモダンファンタジー。